episode227 悪魔狩り

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「不都合な点?不都合な点って何だ?」 宙に浮いた眼差しで 征司は誰にともなく問いかけた。 「例えばうちの弟が、何人もの男の慰み者になってると世間に公表する事か?それとも次から次へと男を取って食う淫乱だと知られる事か?」 皮肉な口ぶりで 噛みしめるのは真実だ。 「お兄様……」 「笑えよ、俺は一体何してるんだ?」 幾度となく見た 倦怠のとり憑いた表情で王様は項垂れる。 「ああそうだ。悪魔狩りの途中だった……」 だがこの人に限って ただ項垂れていると言うのはあり得ない。 「安心しろよ。裁判たって何も公けのものじゃない」 征司はおもむろに僕に手を伸ばした。 「弟が俺の目を盗んでそこら中の男と寝る――それでちょっとした刃傷沙汰が起きたのさ。俺の弟と俺の義兄と俺の秘書の間で。な?司法の力を借りるまでもない問題だ。俺の弟が――」
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