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素のままをアピールするのは
一層磨きがかかった自信の表れだ。
その上で危ういまでの若々しさと
少年のような儚さは何より魅力的だ。
我が家の当主――天宮の若き総統は
己がルールであり
己が伝統のルーツになりつつある事を十分ご承知なのだ。
「……中に入れるんでしょ?入っていらしたら」
噛まされていたボールが口元から外されると
僕は征司の目も見ずに溜まっていた唾を吐く。
腹が立った。
本来は僕が檻の外に
目の前の男が中にいるべきなんだ。
「触らないでっ……」
柵の隙間から頬に伸びる指先に
必要以上の拒絶反応が出る。
「あんな拷問した手で……触れられたくない!」
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