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習慣とは恐ろしい物だ。
「おまえをちょっと懲らしめてやろうと思っただけさ」
「ちょっと……懲らしめる?」
もっと恐ろしいのは
独裁者の歪んだ倫理思想。
「分かってると思うが、ここは本物の留置所なんかじゃないし、あいつらも本物の刑事じゃない」
「うそ……」
元々
鍵なんかかかってなかったんだ。
征司は腕利きのマジシャンのように
いとも簡単に牢屋の扉をすり抜けこちら側にやってきた。
「本物の国家権力はあんな取り調べはしないし――おまえの風穴に媚薬塗りたくってるほど暇じゃないのさ」
「あ……いやっ……!」
「どれ、見せてみろ――」
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