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「黙れ!」
だけどあちらも
大人しく引き下がるタマじゃない。
「ンンッ……!」
そんなの知ってるさ――。
「噛みたきゃ噛めよ、飼い犬が」
征司は僕の口の中に
己の手を突っ込んで大いに笑った。
「自分の舌を噛む前に俺の手を食いちぎってみな、狂犬」
それならとお望み通り
僕は思い切り歯を立てた。
憎らしい――。
この男のすべてが憎らしくてたまらない。
「食らうなら骨まで食らえよ――なあ」
「ンンッ……」
馬鹿にしてるんだ。
狂ったように歯を立てる飼い犬の頭を
優しく撫でてやるなんて――。
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