第一話脚本

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 被弾して動けなくなったAAの横をすり抜けて、恭介のAAが左右に切り返しながら背後の一機にマシンガンを撃ち込む。  予想外の急激な接近に戸惑った敵AAはなすすべなく被弾した。 『シグレ2。継戦不能』 「2ポイント目、ゲット!」  軽口をたたく恭介。 『注意!敵、射程距離圏内に侵入!』  警告音が鳴りディスプレイに赤い警告ラインが走る。同時に後ろから立て続けにマシンガンの弾が飛ぶ。  AAのスピンするように動かしてよけようとするが回避が間に合わず右肩に被弾する。しかし、特に爆発音とか衝撃があるわけではない。   『警告!被弾!右椀部使用不能!』  戦術AIが被弾の報告をして、ディスプレイに表示された機体の状態表示のアイコンのうち右の椀部が赤く染まる。  右のアームレバーを操作しても、右手は動かない。 「どうってことないな……コール!左手を射撃モードに変更、セミロックオンに設定」  こともなげに言って戦術AIに命令を下すと、ディスプレイに左手に対応した新たなレティクルが表示される。  左手に装備された長方形の盾を放棄して、右手のマシンガンを左手に持ち替える。  半身のような姿勢で機体をバックに走らせながら、左手のマシンガンで射撃を行う。  セミオートロック射撃の最初の数発は外れるが、即座に射線を修正する恭介。  左手で撃ったことによるハンデを感じさせずあっさりと残りの一機にマシンガンの弾が命中し、赤いペイントが敵AAの装甲を汚す。  撃墜判定がディスプレイに表示される。 『シグレ3。継戦不能』 「ちょっとあぶなかったかな」 『シグレ、全機継戦不能。ムラサメの勝利。各機ハンガーに帰投せよ』  インカムから指示が流れ、模擬戦の終了が告げられる。
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