第一話脚本

2/19
前へ
/24ページ
次へ
①世界観解説  2015年に奈良に誕生した株式会社清里は、革命的な義肢及び装着型ボディースーツをリリースした。  ひとつは、筋電位を感知して本物の肉体のように動く義肢。欠損した体の部位に装着することにより、文字通り元の体のように動かすことができるもので、従来の義肢とは隔絶した性能で医療の世界に衝撃を与えた。  もう一つは、SFのパワードスーツさながらのボディスーツ。介護の現場等で使われていたものを劇的に進歩させたものであり、これも力仕事など様々な場面で用いられた。  しかも、これらの製品は決して破格の高額ではなく、十分に一般庶民でも利用可能な水準の価格が設定されていた。  この二つの技術やそれを応用した無人ロボット等により、㈱清里は瞬く間に世界的な企業に成長した。    いずれの技術も軍事転用が危惧されたが、この点についてもぬかりなく、核心の技術は鉄壁の特許で守ったうえで、軍事転用が難しい分野については技術を公開した。  この、軍事転用は許さない、という姿勢は、大きな傷を負った人にも手の届く価格で製品を供給する、という姿勢とともに世界中から称賛された。  ㈱清里を率いるのは創業者である清里創平。  出身が考古学者でありいわゆる技術畑ではないことや、あまりにも従来の技術と飛躍しすぎている製品は世界中の好奇心を刺激し、様々な憶測を呼んだがこの点について、公式に語られることはなかった。  もう一つの奇妙な点は、株の公開に一切応じなかったこと。  株式を公開すれば世界的な大富豪になれることは確実であり、株式の公開の要請も数知れずあったが、あくまでそれをすることなく、閉鎖的な同族会社の形を保ち続けた。  会社の創設から5年を経過した2020年。  ㈱清里が突然発表したのは身長10m強の登場タイプの人型兵器、アサルトアームズ。  アニメかSF映画から現実世界に飛び出してきたようなロボット兵器は、義肢以上に世界に衝撃を与えた。 「これが我々の目的だった」  株を公開せず自社の運営に対して他者から口を挟ませなかったのも、すべてはこのアサルトアームズを作り出すためだった。同時に、アサルトアームズを使った競技を開催することや、各国軍に供給するとこも発表された。  世界中の怪我人に希望を与え、平和を愛する企業というイメージは一瞬で地に落ちた。    そして5年後。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加