第一話脚本

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「あとは俺だけか……コール!マップ表示!」  恭介の命令に応えて、戦術AIがディスプレイにミニマップを表示する。これは偵察衛星とリンクして敵の現在位置をリアルタイムで表示するシステム。  AAは戦術及び操縦補助のAIを搭載している。これは、手動操作もできるが、原則として両腕はAAのアームの操作を優先するため、殆どのシステムの切り替え等は操作は音声で行うことができるというもの。  コールと言ってから指示すると、AIがその指示に従う仕様。  マップには後方から迫る一気のAAが光点で表示されている。光点には識別番号や接敵までの時間も表示されている。接敵までは20秒。 「まったく、手間を懸けさせてくれるよ」  面倒くさそうにつぶやいて、AAを加速させる。  土埃を上げながら遮蔽を回り込むようにしてAAを走らせ、敵の二機を縦にとらえるようにポジションを取る。  双方のAAは同じ機体ではあるが、スピードでは恭介の機動が圧倒している。これは彼の耐Gの高さという肉体的な適性と、高速移動しながら当てられるという動体視力の賜物。  AAの銃撃は戦術AIによるロックオンシステムが搭載されており、オートロックオン、セミオート、マニュアルの3つのモードがある。  オートロックオンは便利ではあるが、動体目標に当てるためには彼我の移動を考慮した偏差撃ちが必須であり、コンピュータ任せでは当たらない。  よって、セミオートによる射撃が基本となっている。ハイテクで武装されているが、パイロットの技量が介在する余地がある。  射線が重なって、後ろの一機の攻撃が止まる  恭介のAAが一気に距離を詰めて、前にいる一機の盾の死角に回り込むようにマシンガンを連射する。躱しきれず一機が被弾し、赤いペイント弾がAAの装甲を汚す。同時に撃破判定がディスプレーに表示される。 『シグレ1。継戦不能』
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