其の三 返却

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浩志は布団の中で、ずっとお六のことが頭から離れなかった。 (また、声かけてくれたらいいなぁ。いやいや、あまり期待しない方が…でもまた話したいなぁ~!) ふと、真也の言葉を思い出す。 「男子校はお前に異常な妄想癖を植え付けてしまった…。」 (いやいやいや、肩と肩ぶつかってるし!会話してるし!…それも幻覚なのか?もう何がなんだかわかんねぇ~!) 浩志はふと気づいた。 「触ってみれば、分かるんじゃね?」 クソ野郎がっ!と枕で頭を連打する。 (…それにしても、ろくちゃんもマーガリン読むんだなぁ。) 浩志にとって一番意外だったのは、そこだった。 少し時間は戻り、お六は浩志と別れ、家路を急いでいた。 (はぁー、緊張したー。でも、話かけてくれて良かった。まじめなのに、意外と気さくな人だったな。私も敬語から抜け出したいなぁ。がんばらなきゃ。) 「おぉ、六。お前が遅くまで出歩いてるのは、珍しいな。どっか行ってたのか?」 「まぁ、ちょっとね。」 「今日、家行ってもいいか?魚持ってきたからよ。」 「どうぞ。帰ってから晩ご飯の支度するから、ちょっと待っててね。」 「おう。」 2人は、一緒に家に帰った。
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