其の四 水辺のsniper!

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其の四 水辺のsniper!

浩志の朝は早い。毎日自分と母のお弁当を作りながら、朝ごはんも用意する。そんな困難ももろともせず、浩志は手際良くおかずを作る。 今日は鰯の蒲焼きうな丼風だ。醤油ベースの甘だれと山椒をかけることで、いつもの鰯が絶品になる。ご飯ともベストマッチだ。お弁当は冷めているのががっかりポイントだが、浩志のお弁当は冷めても美味しい。付け合わせのほうれん草の胡麻和えを添え、完成だ。キッチンに甘だれと山椒の匂いが漂っている。 そして隣のフライパンでは、ハムと目玉焼きとチーズをのせたパンを焼く。これがまた美味しい。宮崎駿作品に出てきそうな一品だ。 「よし、できた。…母さんまだ寝てんのかよ。」 母を起こしに寝室に行く。 「おはよー、起きろー。戻ってこーい。」 「ぅ~ん、もう少し…」 腹が立ったので、ほっぺをぶにぶにする。 「やめへぇ、おきまふ、おきまふからぁ~!」 時間にルーズなのが、母の短所だ。その分浩志がきっちりした性格になったのかもしれない。 母はありえない速度で支度をする。爆速で朝ごはんを食べ、20分程でメイクが終わっている。 「今日うな丼でしょー!楽しみー!」 「そんな高えもん作れねぇよ。うな丼「風」だよ、「風」。」 「ふうん。じゃ、行ってきまーす!」 母なりのボケだろうか。 少しして、浩志も家を出る。お六と出会った道はほとんどの人が知らない、浩志だけの秘密の近道だ。小さい頃から浩志は、なんとなくこの道が好きだった。 「…わぁ!」 「どわぁぁ!」 茂みから声がして、背中を叩かれた。驚きで軽く垂直に飛んだ。 「ふふふ♪あ、おはようございます!二連続脅かし成功です!」 「ろ、ろくちゃんかぁ。朝から心臓に悪いよ…あぁ、死ぬかと思った。…どこにいるんだよー。」 「教えませ~ん!さ、遅刻しちゃいますよ。今日もがんばって!」 「ありがとう。ろくちゃんもな。行ってきます!」 姿は見えないが、明確に触れられた感触はある。お六は、確かに今日も声をかけてくれたのだ。 「がんばれって言ってくれるのかよ…。俺、幸せ者じゃね?」 浩志はスキップをして駅へ向かった。 (浩志くんって、結構怖がりだな。もっと脅かしたい!でも毎日は慣れちゃうかも。少し間を空けて脅かそう。うっしっし!) 浩志は1日浮かれていたため、真也には情緒不安定な人の烙印を押されてしまった。
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