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放課後、浩志は2日に1回程スーパーに買い物に行く。まとめ買いしているにはしているのだが、お弁当と夜ご飯の分があるので2日分が限界だ。献立も3日分はさすがに思いつかない。
重いスーパーのレジ袋を両手に持ち、土手を歩く。そのとき、袋から豆腐が自ずから宙を舞った。
「えっ、はぁ!?と、とうふ!?」
あっという間に木の上の方まで浮き上がり、消えた。
「とうふが、消えた…」
そして、草木が不自然に揺れ、何事も無かったように静けさが戻る。
「ろくちゃんのいたずら…なのか?勘だけど、少し違う気がする…」
その日はとりあえず家に帰った。
その後も、放課後の帰り道でのいたずらは続いた。木の実がものすごい勢いで飛んできたり、突然魚が降ってきたり、見えない何かに足元をすくわれたり…。
ただ一つ分かったのは、足に触れた何かが湿っていたことだ。浩志には確証はないが、心当たりがあった。
「信じられないけど、やっぱ本当だったのか?」
相手を知りたい気持ちはあるが、無闇に危ない橋を渡る必要はない。浩志はしばらく、秘密の近道を通るのを避けることにした。
「ただいま~!やっと帰って来た~!まだ間に合うかな。浩志くん脅かしに行こ!」
お六は田舎で採れた野菜などをもらうため、長旅にでていた。お六の家は人目のない雑木林の陰にある。当然住所もないため、自分たちで取りに行くしかない。
「スタンバイ完了!」
しかし、浩志はこの道を通るのを避けているため、来ることはない。辺りはすっかり暗くなってしまった。
「今日は帰って来ないのかな…。ひょっとして風邪引いて学校休んじゃったとか?まさか、恋人とお泊まり!?え!?なんか…それはやだ…!」
しかし、浩志の家も知らず、ましてや連絡する手段もないので、諦めて帰ることにした。
(私より先に恋人作るなんて、許さない!むー!)
「おい、六。聞いてるか?」
「あ、いたの?ごめんごめん、ちょっと考えごとしてた。今日晩ご飯いる?」
「いや、もう済ませた。そうそう、これ。たくさん獲れたから、やるよ。」
お六は袋に入った魚を受け取る。
「ありがと。ほんと釣り上手だよねー!あ、田舎からお野菜もらったから、ちょっとあげるよ。」
「野菜はいらねぇよ。」
「好き嫌いはだーめ。ほら、もう暗いし、早く来て!」
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