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20人は余裕で座れる広い大理石のテーブルには、今は私たち2人だけだ。
・・・今、聞いてもいいかな。
「ねぇ・・・マキは、この先もずっとミサキ先輩と付き合っていくの?」
「え・・・何急に!?」
突然変わった話題に、マキが頬を染める。
物事にあまり熱中したり執着したりしないマキが、唯一手放そうとしないもの。
それが、ミサキ先輩との関係だ。
いや、あの変な性癖も、執着していることの一つか。
だいぶ見慣れたはずの幼女モードのスズキ先生相手にさえ、たまに鼻息荒げてるもんな。
「いや、セキ兄ちゃんの婚約のこと聞いてさ・・・なんか、気になっちゃって。
だって、ほら、ミサキ先輩が魔法使いになったらさ・・・」
子を成せない身体になってしまうから。
そこは言葉には出せなかった。
でも、マキは私の言いたいことに気づいたようだ。
「うん・・・そうだよね。いつかは考えなきゃいけないんだろうけど・・・」
マキの表情が曇る。
「多分まだ、ミサキ先輩はそれを知らされてないんだと思う。
全然そんな話にならないし。ぶっちゃけ、私もミサキ先輩も目の前のことで精一杯だし、今を楽しむことしか考えられなくて。
先輩が魔法使いになってしまったら、そこに触れなくても自然と終わってしまうのかもしれないから、今はあんまり考えないようにしてる。
結婚できなくたって、今一緒にいたい気持ちに蓋はできないよ。」
「そうか・・・そうだよね。
余計なこと聞いてごめん。」
「ううん。心配してくれて、ありがと。」
少し苦しそうに微笑むマキを、私は見つめることしか出来ない。
「ミサキ先輩はやっぱり・・・魔法使いになるのかな。」
「え、なるでしょ。」
その回答を聞いて、ミサキ先輩は多分まだ、ミカサ君が魔法使いにならないかもしれない事を知らないんだと確信した。
ミカサ君とは、以前泣いてしまった時から一度も喋っていない。
今は話せないと言われたことがどうしても引っかかってしまって、話しかけるのが少し怖くなった。
まぁ、話しかけたくたって話しかけるチャンスは滅多にないんだけど。
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