第3章 正しい情報のある場所。

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「次は何するの?」 「しばらくは、文芸部だけでいいかな。」 今までは、マキのこういう所を、ただの飽き性だと思っていたけど。 マキが舞うことを許されなかったと聞いてからは、少し見方が変わった。 多分マキは、本当は舞の稽古をしたいんじゃないかと思う。舞うこと以上に打ち込めることを探して、あれこれ手を出してはすぐに辞めてしまうんじゃないかなって。 でも、幼い頃あんなに熱心に稽古して、誰よりも美しく踊っていたマキが、それ以上に興味を持てることなんて簡単には見つからない気がする。 「頑張って続けたら、世界大会に行けるかもよ?」 「そりゃ、行けるかもしれないけど。」 少し首を傾げてマキが続けた。 「行けた所で将来に役立つわけでもないし。 努力する過程が大事だって話なら、勉強で努力して大学行く方がよっぽど将来のためになるよね。それに、世界大会に行って優勝でもするならともかく、出場したってだけじゃたいしたステイタスにもならないじゃない。」 いやいや。 世界大会だよ? 立派なステイタスに成り得ると思うんだけど。 でも、確かにアーチェリーで生きてくわけじゃないし、ただ「出場した」ってだけなら、なくても良いステイタスなのかな。 ・・・本当にそうなのかな。 必要なことだけを努力するのが良いのかなぁ。 そうなのかなぁ。。 なんとなくモヤモヤするけど、私だって必要なことのためにしか努力したことないから、マキに反論する言葉は見つからない。 ・・・要するに、マキにとってアーチェリーは打ち込めるほど楽しいものではなかったってことだ。 それならば、やめるのも仕方ないのかもしれない・・・かもしれない。
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