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「えー、そうだったの?
そんなに長く思ってもらってたなんて…私、全然気づいてなかったわ。」
お姉ちゃんが頬を染めて苦笑している。
幸せオーラがダダ漏れじゃないですか。
「なんだ、知ってるからうちに就職したのかと…」
セキ兄ちゃんが意外そうに眼を見張る。
いや、お姉ちゃんは宮廷舞踏団のイケメン踊り子さんを捕まえる気満々でしたけど…セキ兄ちゃんの事は多分、眼中になさそうでしたよ。
それはまぁ、ナキ兄ちゃんも然りですが。
「まぁ、何はともあれ、積年の片想いが報われたんだから良かったわよね!」
「そうだな。アイラちゃんなら昔からよく知っているし、父親としても、舞踏団を代表する立場としても、我が家に正式に迎えられて嬉しいよ。」
おじ様とおば様がニコニコ微笑んでいる。
おじ様は、もうすぐ50歳とは思えない若々しさで、私から見てもドキドキするくらいのイケメンだ。
切れ長の二重の瞳は、セキ兄ちゃんとナキ兄ちゃんに受け継がれている。
長い睫毛に縁取られた黒目がちなその瞳に見つめられると、どんな女性でも陶酔してしまう。
特に、流れるように美しく女性的な舞の合間に送られる流し目の威力は凄まじい。
舞台に立つおじ様は神々しくて近寄りがたく見えるけれど、こうしてプライベートで会うおじ様は、ただただ子煩悩なパパという感じだ。
こんな素敵なパパができるお姉ちゃんが、改めて羨ましい。
いや、うちのパパだって…地味だけど……地味すぎるけど…………。
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