第3章 正しい情報のある場所。

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「まさか、アイラがクミール家に嫁ぐ事になるなんて…ご先祖様が知ったらびっくりするだろうなぁ。」 我が家の地味パパも、とっても嬉しそうだ。 「ご先祖様って…うちとミライ家ってそんなに昔から仲良しなんですか?」 マキの問いに、地味パパが微笑んだ。 「さぁ…僕も父親や祖父から聞いただけだから、本当のところは定かではないけれどね。 僕が聞いた話では、魔物時代からって話だよ?」 魔物時代って。 500年も昔ってこと? まさか。 「なんでもね、魔物時代にご先祖様同士が友人になり、そこからの関係だとか。 クミール家は当時から宮廷舞踏団だったはずだから、眉唾ものだけどね。」 でしょうね。 庶民代表みたいなうちの家系とクミール家が500年以上仲良しだなんて、あり得ないよ。 …じゃあ、どっから仲良しなんだって話だけどさ。 「まぁ、それくらい大昔からの関係性なわけだから、ご先祖様もきっと喜んで下さるだろうね。」 父は本当に嬉しそうだ。 普通、娘を嫁に出す父親はもっと淋しそうなものだと思うんだけど。 それでも、どこの馬の骨か分からない男の人じゃない、小さな頃から良く知る親友の息子であるセキ兄ちゃんに嫁がせるなら、やっぱり嬉しさの方が大きいのだろう。 突然の発表には本当に驚かされたけれど、父も母も嬉しそうなので、黙っていたことは水に流してあげようかなって気がしてきた。
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