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「本当は、人々は自由な思想を持って生きてよいのかもしれない。
が、まず魔人たちは、人間というものを信じていないからね。
自分たちより下等だと思っている部分もあるし、そもそも今までの歴史が人間は元来おろかな生物なのだということを証明してしまっている。
だから魔人は、把握できない人間が生まれることを嫌う。
全て自分たちが統治しておくのが世の中の平和への最短ルートだと考えているからだ。
・・・でもね、実は把握できていない人間・・・いや、魔人かもしれないが、とにかくそういう存在が壁の外に存在している。」
ざわりと嫌な感覚が背筋を這う。
青ざめた私の腕を、いつの間にか隣に来ていた母がきゅっと握った。
母の顔は大丈夫だと微笑んでいる。
それでも、嫌な感覚は消えない。
「そういう存在がいることは、ずっと昔から分かっていた。
元魔王が統べる国に暮らすことを嫌い、自ら壁の外へ出て行った人々だ。
昔は壁の外で暮らすことに寛容だったから、特に対策は練られなかった。
セントールという国の中で暮らしていても、その者たちは国の統治を受けていない。
どこか人目につかない場所で自給自足の生活を送っている。
国は何らかの手段でそういう集落を把握していたし、他の人間に害をなさないのであれば良いと黙認されてきた。
しかし、そういった人々の中に危険思想を抱く者が出始めた。
そして、ノーサールの若者を誑かしてテロを冒した。
その時のテロの首謀者は殲滅されているが・・・何らかの手段を用いて各国の壁外に住む者たちが連携を取っているらしいということが、100年前に判明した。
そこで、テロに対抗すべく作られたのが国際魔人連盟だ。」
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