第3章 正しい情報のある場所。

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魔法使いの本当の任務って、つまり・・・ 「彼らの仕事は、テロが起こったときに迅速に事態を収束させること。 そして、テロに残された証拠を元に拠点を割り出し、殲滅することだ。 この100年・・・私たちが知らされていないだけで、実は頻繁にテロは起こっている。 村を襲撃され、無理やりテロ組織に組み込まれたり、屈しなかったために壊滅させられたり。 壁の中に情報を入れないのは、そのような組織に興味を持たせないためだ。 国民に広く知られる前にテロを根絶やしにすることが、王属魔法使いに課せられた最大の使命なんだ。」 戦争なんて遠い昔の出来事だと思っていた。 でも、知らないところで今も続いていたんだ。 全然知らなかった。気づかなかった。 情報統制されているなら当たり前だ。 ・・・でも、壁の外に出るような仕事をしている大人は少なくない。 私やマキのように、全寮制の学園だなんて閉鎖的なところにいる子供は知らなくても、実は世間にはそれなりに知られているんじゃないだろうか。 そう言うと、父もおじ様も頷いた。 「そうだ。100年の間に少しずつ情報は広まっている。 そして、年若い者たちがテロ組織に志願する事例も増えている。 今まで情報操作をして、魔法使いが秘密裏に処理してきたことが、世間に知られ始めた。 だから、この戦いの在り方を根本から考え直すときが来ているんだ。」 家庭訪問の話から、とんでもない話になってきた。 スズキ先生も当然、これらのことに関わっているのだろう。
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