第3章 正しい情報のある場所。

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根本的に悪い人ではないけれど、変わり者過ぎて通じ合えるところが一つもない。 会わない間に結婚して、多分6~7歳くらいの息子がいるはずだけど、まだ会ったことがない。叔父さんのミニチュアみたいな従兄弟かもしれないと思うと、会いたいとも思えない。 「イスタリアの魔石採掘場での仕事を辞めて帰って来いだなんて・・・そんなこと言ったら、きっと僕ら家族は3日3晩罵倒され続けるだろうね。嫌だなぁ。」 兄の癖に頼りないことを言う父を恨めしげに見るが、父は父で弟に罵倒されることが本当に恐ろしい様子だ。 「スズキ先生は、クルミが継ぐものと思っている風だったけれどね。 まぁ、そんな先のことは今はまだ気にしなくて良いよ。それどころじゃないしね。」 それどころじゃない・・・とは? 「元々、テロを行うグループは人間ばかりで、爆弾や銃火器を使用したものだった。 それが最近、魔力を使うものが出てきたんだ。 しかも、結界魔法陣で跳ね返せない魔力を使うらしい。」 結界魔法陣で跳ね返せない魔力なんてあるの・・・? それが本当だとしたら、壁の中だって危険だ。 「国際魔人連盟が様々な調査を行ったが、結界魔法陣は今でも魔物と魔人の魔力には有効だ。 ところが、奴らは魔法陣を通過できる魔力を持っている。 それはつまり・・・人間のままで魔法を放つ力を得たということだ。」 人間のままで・・・ 以前スズキ先生が言っていたことが頭に蘇る。
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