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「おっはよーー!!」
今日から通う高等部の校舎は、寄宿舎から中等部とは反対方向に10分ほど歩いたところにある。
その道をノロノロと歩いていると、後ろからテンション高めに抱きつかれた。
うん、そろそろ来ると思ってたよ。
中等部の頃から、ほとんど毎日これだもんね。
「なんで、そんなにテンション高いのかな…」
「だって私にとっては、挫折じゃないから!」
にっこり笑うその少女は、白い陶器のような滑らかな肌に大きく黒目がちな二重の目をキラキラさせ、上気した頬とぽってりピンクの唇をアクセントに華やかなオーラを振りまいている。
「相変わらず、朝から無駄に美少女だね…。
私にとっては人生最大の挫折なので、少し放っといてくれる?」
「いやいや、こんな時こそ、このマキちゃんの元気が必要なんじゃなーい?」
「いらんわ。」
「冷たっ!!」
朝からまとわり付くこの少女とは赤ん坊からの幼馴染で、テンション低めの私の横でいつも無駄に元気を振りまいている。
幼馴染のよしみで隣にいてくれるんだろうけど、学園イチの美少女として名高いマキ=クミールなら、私の隣じゃなければもっと華やかな集団で華やかな学園生活を送れるだろう。
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