1210人が本棚に入れています
本棚に追加
/955ページ
授業初日の今日は、国語・歴史・基礎魔法学・基礎魔法学。
中等部の時は丁寧に教えてくれる教師が多く、クルミにとっては、たまにもどかしい位だった。
しかし、高等部の教師は中等部とは全然雰囲気が違う。
より専門性の高い学者肌の人が多いのだろうか。
こちらが理解しているかどうかなど全く気にもとめず、ただひたすらに滔々と語り続ける教師に面食らってしまった。
中等部の頃はもう少し、教師がこちらの理解を窺うような素振りがあったのに。
もちろん、しっかり予習をした私にとってはそこまで大変ではなかったし、一組に選ばれるレベルの他のクラスメイトも問題はないだろう。
2限の後の休み時間に、担任からあらかじめ教材運びを頼まれていたため、マキと共に魔法学科室へ向かう。
中等部の教師は皆、職員室が定位置だった。
しかし高等部では、職員室の他に各学科の部屋があり、教師たちはそちらにいる事の方が多いらしい。
もちろん私は全く場所が分からないので、マキに先導してもらった。
校内図を早く手に入れなければ。
「失礼しまーす。」
ノックをしてから扉を開ける。
モダンな高等部の校舎とは雰囲気の異なる、厚くて重い木製の扉だ。かなりの年代物に見える。
「おっ!おつかれー。
これなんだけどさ、よろしくね。」
机に座っていたスズキ先生が振り向き、近くの箱に入れられた冊子の山を指す。
魔法学科室の中は、4つの机が向かい合わせて正方形に置かれていた。
スズキ先生の他にもここを利用する教師がいるようだ。
南向きの窓があるにも関わらず、壁が真っ黒で部屋自体も暗く見える。
部屋の奥には入り口のものより更に重厚な造りの両開きの木製扉があり、よく見るとそこには王家の紋章が刻まれていた。
「先生、あれって……」
思わずスズキ先生に声を掛けると、私の視線を辿って扉を見た先生が「教材室だよー。」と言った。
「あんな重厚な扉にしたら、教材を持って出入りするの大変じゃないですか?」
マキがもっともなことを言う。
「まぁそうなんだけど、あそこは教師しか開け閉めしないからさ。魔法学科室の教師は全員魔法使いだから、そもそも手で開けないし。」
そう言うと、スズキ先生がふと黙り扉を見つめた。
最初のコメントを投稿しよう!