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基礎魔法学とは、魔法の発生する仕組みを学ぶものである。
一般には公開されていない魔法の仕組みを、この学園では必須科目として学べるのである。
脳のどの部分を活性化させて魔力を生み出すか。
活性化した魔力をどう錬成して魔法に変換するか。
そういった、魔法を発動させるための基礎を学べる。
もちろん、私たちは魔力を持たないので、学んだところで扱えはしないのだけれど。
「多分、優秀な一組の皆さんの事だから、しっかり予習してきてると思うので。」
クラスを見渡しながらスズキ先生が張りのある声を出す。
いつもと違う、授業用の顔と声だ。
魔法使いとしての威厳漂う、風格。
「私からは補足を中心とした授業を行っていきます。
つまり、魔組と全く同じ教え方です。
一学期考査ではほとんど差はつかないでしょう。
問題は、二学期から。
魔組の生徒は、一時的に魔脳部を活性化させる薬を投与され、魔人化するまでは人間として魔法を扱うようになります。」
ざわり…と、静かなはずなのに教室の空気が動いたような気がした。
「魔法を実際に扱いながら学ぶのと、魔法を放つ事なく座学で理解するのとでは、その習得にかなりの差が出てしまうでしょう。」
静まり返る教室の空気で、耳鳴りがしそうだ。
昨夜の食堂での、トラン先輩の言葉が耳の奥で蘇る。
『魔組に勝とうとか、魔組の俺からしたらあまりにも無謀な発言に思えるけど。』
魔組の授業に関する情報は、外にはほとんど漏れてこない。だから、魔人化しないままで実際に魔法を扱っているなんて、知らなかった。
魔組であるトラン先輩は、このことを知っていたから、無謀だと言ったのだ。
学年一位で負け知らずの私は、どんな事も努力だけで何とでもなると思っている。
でも、努力だけでは追いつかない事もあるのを、学んだばかりなのに…また努力に縋ろうとしていたのだ。
己を過信しすぎるのは、私の悪い癖だな…。
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