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「オッケー、君らが仲良しなのは分かった。」
面白そうに言う部長に、各々が否定や賛同の声を上げるが、ガヤガヤとした空気が膨らむ程度だ。
要するに今、私たちは楽しげなのだ。
「マキは、アーチェリー部じゃなくて良かったの?」
見学で一番興味のありそうなのが、アーチェリーだった。
少しやらせてもらったが、初めてとは思えない正確さで的の中央を5本連続で射抜いていた。
先輩方は色めき立ち、これならすぐにでも国際大会を狙える!!と息巻いていた。
マキも満更でもなさそうに見えたんだけど…
「アーチェリー部は、この先が想像つくじゃない。
一年生エースとして、新人ながら部を引っ張るヒロインになれる私が、ありありと見えるでしょ?」
その物言いは鼻に付くけど、確かに見えてますな。
「でも、文芸部は未知数だなぁって。
私、今は読み専だけど、いつか書く側になってみたかったんだよね。
それをサポートしてもらえるって、ありがたいし。」
「うちは兼部オッケーだから、アーチェリー部の許可さえあれば、一年生エースと文豪を同時に目指せば良いよ。」
部長がニコニコしながら言う。
文芸部唯一の三年生であるこの先輩は、ショートカットの似合うスレンダーな美形で、制服を着ていなければ美青年と見間違えそうな雰囲気だ。
どうやらユズのツボらしく、さっきから先輩を見ては頬を赤らめている。
この様子だと、エーデルトリオは文芸部に決まりそうだ。
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