第2章 勉強は大変なものだ。

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「いやいや、表面は確かに滑らかだけど、触ると固いよ?」 部長に遠慮なく太ももを揉まれて真っ赤になる会長。 部長…それはセクハラです。 「ま、正式入部までには、もう少し表面の脂肪だけ落としといてよ。」 カラッと笑う部長に、会長が脱力している。 筋肉隆々の会長は…イメージじゃないなぁ。 と、そこへ部室の扉が開き、副部長含め4人の二年生が入ってきた。 「わっ!!!何この人数!?」 一人が驚いた声を上げる。 「全員仮入部なんですか!??」 副部長が嬉しそうに部長の腕に抱きつく。 わーお。 子猫のような可愛らしさ。 男の子なんだけど。 背の高い部長と、小柄で小動物のような副部長は、性別が逆だったら完璧なカップルだ。 でも、イケメンな女子部長と、キュートな男子副部長という組み合わせもこれはこれでなかなか…。 「うちは今、この5人で細々と活動してるんだ。 ここのクラブ棟に部屋をもらうには、最低5人の部員が必要で…もし今年の新入生がゼロだったら、私が引退した後は追い出されるところだったからさ。 みんなが正式入部してくれたら少なくともあなた達の卒業まではこの部室も安泰だし、本当に嬉しいよ。」 部長がにっこり笑い、そのあとに部員と私たちを交互に紹介してくれた。 とても爽やかで優しい部長さんだ。 …今のところ、部員の誰にもマキを目の前に動揺は見られない。 ということは、ミサキ先輩とトラン先輩の悲恋物語を描いたあの同人誌は、文芸部発行ではないのかもしれない。 そうなれば、私も安心してマキと共に文芸部に所属できる。 「あ、クルミちゃんって、一組初の新入生代表挨拶して子だ!」 副部長が思い出したように私を指さした。 「あぁ、そう言えば…ってゆーか、アオイは人を指さしちゃいけません。」 部長がアオイと呼ばれた副部長の人差し指を優しく折り曲げて、きゅっと握る。 ずきゅーーーーーん!!! と、見えない矢で心を射抜かれた。 美青年と美少年の…いや、美青年の方は正真正銘女子だけど。 この二人、なんだか癒される。
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