第2章 勉強は大変なものだ。

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「ごめん、サリーナ。ついやっちゃうんだ。」 叱られた子猫のように分かりやすくしゅーんとする副部長に、サリーナと呼ばれた部長がよしよししている。 後輩が先輩を呼び捨てって… 「この二人、幼馴染だから。」 と、他の先輩が補足してくれた。 やけに近い距離感は、そういうことか。 「新入生代表ってことは、一番成績が良かったんだよね? それで一組って…魔組拒否したの?」 「いえ…入りたかったです。」 私の言葉に、先輩方がそろって首を傾げる。 「魔組って、成績順なんじゃないの?」 眼鏡の先輩の言葉に、部長が「今までならね。」と答えた。 「基本は成績順だけど、上位者が拒否すればその下が繰り上がるわけで、必ずしも上位全員が魔組になる訳じゃないけど…でも、選抜は上位からのはず。 一位で、拒否したわけでもないのに入れないなんて、初めて聞いたなぁ。」 「そうですよね…私にもきちんとした理由は分からないです。」 本当は少しだけ聞いたけど。 私の遺伝子を後世に残したいっていう、納得できない理由なら。 でも、あれが理由の全てだとは思っていない。 「まぁ、元々別に成績順だってどこにも書かれていないしね。 理由は気になるけど、ここで論じても仕方ないか。」 部長がこの話は終わりだと言わんばかりにまとめてくれた。 この話題で私の気が沈んでいることに、気付いてくれたのかもしれないな。
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