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「それ見て、たまには俺のこと思い出してよ」
えーーーーー
「いや、見なくても普通に思い出せるけど…でも、ありがとう」
旅立つ私の安全を祈ってお守りをくれたミカサ君に、きちんとお礼を言う。
しばらく私の顔をじっと見つめていたミカサ君は、急に頬を赤らめて俯いた。
どうしたんだ。
やっぱりまだ、怒っているのだろうか。
「くそっ、全然通じねぇ…」
何が?
え、これ実は、お守りじゃなくて呪いのネックレスだったとか?
まさかね??
「付けてやる」
ミカサ君にしては珍しくぶっきらぼうにそう言うと、私の手からブレスレットを乱暴にひったくり、首に手を回された。
ちょ…これは…顔が近いです……助けて………
「あれ、難しいな」
首の後ろを覗き込むように、更にミカサ君が顔を寄せる。
ひー!
息がっ!息がっ!!
首筋をくすぐるミカサ君の呼吸に緊張しつつ、私の鼻息がミカサ君に当たらないよう息を止めつつ、完全にパニック状態でミカサ君が離れるのを待つ。
いやもう、長い。
そろそろ息しないと死ぬ。
…というタイミングで、カチリと何かがはまった音が聞こえた。
ゆっくり離れようとするミカサ君の胸をぐいっと押し、なるべくばれないように顔を伏せて息を整える。
いや、これ、めっちゃはぁはぁしてるのバレるよね。
誤魔化せるわけないよね。
「…顔上げて」
どうしたミカサ君!
いつになく距離感の近いミカサ君に、もう心臓がやばいくらい乱れ打ちしてる。ズンどこズンどこ軽快なリズムで踊り狂う陽気なおじさんの幻想さえ浮かんでくる。
てゆうか、おじさん誰。
続いて顎をクイっと持ち上げられ、俯いていた顔を無理やり上に向かされた。
これ確か、あの同人誌でミサキ先輩がトラン先輩相手にやってたやつだよー!!
と、脳内が妄想世界にひらひらと羽ばたきながら飛んで逝く―――
「うん、似合う。クルミは緑が似合うな」
そうですか!
それはどうもです!
とりあえず顎の手を離してくれ!!
再び息を止めてるこっちの身にもなってくれ!!!
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