エピローグ

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どれくらい時間がたっただろう。 パーティーの様子が最初の華やぎからだいぶ落ち着いたものに変わっている。 「クルミの熱い想いはよく伝わったよ」 喋り過ぎて声がかすれ始めた私に、ミカサ君がジュースを取ってきてくれた。 「ありがとう!」 カラカラに熱を帯びていた喉が、冷たいジュースでクールダウンされる。 糖分が疲労した脳を癒してくれる。 美味しい。 「俺もさ」 一息ついた私を見て、ずっと聞き手だったミカサ君が喋り出した。 「クルミがこれから巡るような村に、適切な医療を行き渡らせたいって思ってるんだ」 「いいね、それ!」 「だからいつか、きちんと医学を勉強したら、クルミを見習って世界をこの目で確かめながら、辺境の地に正しい医療知識を届けに行ければと思ってる」 素敵だ! 確かに、この世界を公平に発展させるためには、教育だけじゃなく医療やその他色んなことを行き渡らせなければならない。 医療の充足は教育以上に大変だろうけど、ミカサ君ならきっとできるはず。 「その時にさ…」 頬が赤く見えるのは、少し陽が落ちてきたせいだろうか。 傾き始めた陽の光を受けて、ミカサ君の大きな瞳が煌いている。 イケメンだな――… 「クルミに隣に居て欲しいんだ」 うん? ……… うん? 「いやだから、そりゃ、その時はクルミも仕事とかしてるかもしれないから状況が許せばだけどさ、例え一緒に行けなかったとしても、一番近くで支えてもらえたら嬉しいなぁと…思って……」 なるほど。 「分かった!」 え、分かったの?と呟きながら、ミカサ君が私を凝視する。 「ちゃんと、医療が遅れている地域についてもレポートするね。あらかじめ把握しておいた方が効率いいし…そうだ、通信教育システムの導入時にその手の情報共有もできる仕組みにした方がいいのかな。 あ、それとも冒険者ギルドのネットワークを活用した方が……」 陽が落ちていく。 私の考察は止まらない。 だって、ちゃんとミカサ君の役に立ちたいもんっ! ――この時の私は。 隣で涙目になっているミカサ君に、全く気付いていなかった――
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