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「すみません、でした」
「……えっと?」
「わ……わたしが……ポン酢ばっかり……買うから……」
初めて聞いたポンさんの声は、とても小さくて、かすかで、儚くて、きれいだった。
「覚えられた……んですよね」
「……常連さんのことは、覚えてますよ。あなた以外にも」
「わたし……以外も?」
「はい。毎日来る方もいますし」
そういうと、耳の赤さがじんわりと消えていって、安心したような目元になった。
「それなら……良かったです。わたし、人に……見られたく、なくて」
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