3. ポンさん

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 彼女は自動扉をくぐるまえに、一度私の方を見て会釈をしてから出ていった。そして、右方向へと歩いていく。 姿が消えるのを見届けてから、私は透くんのほうをみた。彼は、いつの間にかホットスナックの準備をしはじめていた。 「透くん、さっきのは」 「きれいな声でしたね!」 「……そうだね」 そう、強く言えないのが私の悪い癖だ。遮られると話す意欲が消え失せるので黙ってしまう。
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