4. 恥ずかしい

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4. 恥ずかしい

 帰宅早々、あたしは壁を左手でつい力強く叩いてしまった。当然、左手はとても痛い。ヒリヒリする。なんだか情けない気持ちになって、ため息にも似た息をそっと吐き出した。 「あぁ……恥ずかしい」 先程コンビニでいわれた一言、“今日はポン酢だけじゃないんですね!”が、悪い意味でとても効いている。週末で、引きこもりたくてポン酢以外にも買ったのだがそれが原因のようだった。 「ポン酢の人で覚えられてるじゃんあたし……うう……」 めそめそ泣きたい気持ちになりながら、靴をぬいでリビングへと向かう。買い物袋をテーブルにおいて、ポン酢やお弁当など買ったものを出した。 「……あの店員さん、いつもの人だよね」 穏やかな笑みを浮かべ、別の店員が問題発言をしたときは慌てたようにフォローをしてくれていた。あたしの右手には、彼がそえてくれた手の温度がまだ残っている。
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