4. 恥ずかしい

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「……、はっ、何してるのあたし」 右手の指をわきわきと開閉させたところで我に返り、マスクをとる。彼は常連は他にもいるといっていた。マスクをした常連も、たくさんいるのだろうか? ――覚えててほしいみたいじゃない。 口には出さず、心の中で自分が考えたことに対して嫌悪感を抱く。 そう、あたしは空気になるのが一番なのだ。 汐が話してくれてればそれでいい。ポン酢を普通に買えて、ポン酢のかかったものを食べられたらそれでいい。 空気でいれば、いつもいないものとして影が薄いほうが目立たなくてすむ。トラブルは起きない。空気を読んで、同調していればこの世は泰平。 そう思うのに、なんとなく、まだ彼の笑った顔があたしの頭にすみついていた。
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