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「陽ちゃんは夕飯どうする?」
「……で……べる」
「そっかー。おすすめの店があるんだけど、一緒にいかない?」
「……うは…………が……か……」
うむ、全く分からない。
一応、三歩ほど走って肩を叩けば彼女の横に行ける距離ではあるが、人混みのせいかマスクのせいか何を言っているかは聞こえない。
マスクをしていることがわかったのは、横を向いたときに白いものが顔を覆っていたからだ。
だが女性には聞こえているようで、楽しげに会話をしている。友達がいることは初めて知ったが、彼女が一人でなく良かったと思う反面、羨ましくもあった。
かといって、私は友達も恋人も欲しいとは思わない。そのはずなのに、彼女に友達がいるのなら自分にもと厚かましく思ってしまう。
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