9人が本棚に入れています
本棚に追加
/60ページ
「今日は先約があるので。それでは」
おそらくキメ顔なのだろうと思われるぶりっ子のような微笑みで私に手のひらをふり、ポンさんとは別方向へと歩き出した。
「……はあ」
誰にでもなく、相槌のような息をもらすと、名刺を胸ポケットにしまう。
それは困惑というよりも思い出したくないことを思い出したことによる疲労のものだった。
「……帰ろう」
外食する予定を変更し、私は帰路についた。
***
最初のコメントを投稿しよう!