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7. 気付かない顔
「ごめんねー、心くん」
「いえ。休憩ももらえましたし」
お昼のピークを過ぎた14時、私はバックヤードの事務所で店長と話をしていた。
なんでも、早朝担当のパートさんがお子さんが熱が出たとかで休むことになり、代わりに私に出てくれないかと電話があったのだ。
私は特に断る理由もないし、パートさんにはお世話になっているから承諾して代わりに来た……というわけだ。
「そういえば、朝お客さんに絡まれてなかった?」
「え? いや……、あ、あれですか。ただ話をしてただけですよ」
「そう? まあトラブルは避けてね。何かあったらすぐ私を呼ぶこと」
「はい、店長」
その店長の言葉で思い出してしまった。忘れようとしていたことを。
***
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