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8. いやな提案だとしても
その日の夜、あたしは家に汐を招いていた。汐はマスクをしていない私のことを知っているから、あがってもらうのも、こうやってテレビを見ながら食事をするのも抵抗はない。
「汐、お茶のおかわりは?」
「あ、ちょうだい!」
「オッケー」
コップを受け取り、冷えた烏龍茶が入っているボトルの注ぎ口をあけて注ぎこむ。コポコポと音を立てて、適当なところで注ぐのをやめてはい、と手渡した。
「あそこの角にあるコンビニさー、陽ちゃんよく行くの?」
「ん? うん……、ポン酢があるのあそこだけなの」
「あー、ポンラーには欠かせないね」
「ポンラーっていうの? 初めて聞いたよ」
そう、もちろん汐は私がポン酢が大好きなことを知っている。
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