10. 自覚するには遅すぎて

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男の子はバーコードを読み取りながら笑ってうなずいた。 「あ、はい。今からあげできたてなんですけど、どうですか?」 「じゃあ1個」 「はい! ありがとうございます!」 ちょうどレジに通し終えた男の子は横にずれて紙の袋に入れ始めた。 今日はそんなに混んでいないようだ。たいていは、店員さんと男の子がレジにいるのだけど。 「合計で2760円になります」 「カードで」 「はい、どうぞ」 男の子が操作をし、汐がカードを置く。軽快な音が鳴って決済は完了した。袋をあたしが受け取る。 「ありがとうございましたー!」 男の子の元気な声に押されるようにして、あたしたちは外に出た。
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