10. 自覚するには遅すぎて

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はじめて分かったの。 あたし、マスクでいることの目的が変わってた。 嘘をつきたいわけでも、自分を守るためでもない。 店員さんに見てほしかったからだ。 途端に頬がカッとなって、熱があがるのが分かる。 きっと今のあたしは顔が赤い。恥ずかしいから。 その気持ちを正面から見てしまったあたしがあたしは恥ずかしい。 「……めん、なさ……」 「陽ちゃん?」 「ご……めん……汐……」 口が震える。それでも汐は私の顔をみるのをやめない。 「何が?」 「あたし……、そのひとの、こと……好きみたい」 「えっ?」 汐の目が丸くなる。 声が小さすぎて店員さんには聞こえていないようで、彼はあたしと汐の顔を交互に見やった。
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