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11. 追いかけた背中
私はどうすればいいか分からなかった。突然ポンさんは走り出してしまった。
鎌田さんと何を話していたのだろうか。ごみ捨てを終えた私はそんなに臭かったのだろうか。
そう思っていると、鎌田さんは袋を拾い上げて、私に疲れた顔で笑いかけた。
「追いかけてあげてください」
「え……?」
「……私がしてあげられるのは、たぶん、それだから」
前髪で目を隠すようにお辞儀をした彼女は、じゃあ、といって駅の方へと歩いていった。
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