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「……ポンさん」
バッ、と携帯の操作をやめて顔をあげる。
店員さんがいた。手から力が抜けて地面に携帯が落ちた。とてもじゃないけど、話す勇気はない。
また逃げようとして思わず背中を向けたけど、今度は捕まってしまった。左腕が彼に掴まれている。
痛いけど、心臓の鼓動が早すぎてそっちのほうに気を取られる。
「まって、……まって、ください」
「…………ぁ……」
「あの、話を、しませんか」
「……はな、し?」
「はい。ちょうどあそこにベンチありますから」
さあ、といわれて、あたしは腕をひっぱられるようにしてベンチに近付く。
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