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あたしは恥ずかしくなる。それは、いい意味のほうで。
思わず空を見るのをやめて横を見ると、店員さんはあたしのほうを向いていた。空気が一瞬かたまった。
「あなたの顔、見せてください」
彼が真剣な瞳をゆらがせてあたしに訴える。声音も低くて心地良い。まるで今朝みた夢かのような。しかし間違いなく現実だ。
「マスクの下を見せてください。私は……あなたが気になった。ただ通うからじゃない。マスクをしているからでもない」
彼はゆっくりと気持ちを伝えてくれる。
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