9人が本棚に入れています
本棚に追加
/60ページ
「ひとつのことを一途に続けるあなたが気になった」
そんなふうにいわれたのは初めてで、あたしは急に泣きたくなった。はじめて誰かにあたしのことを認められた気がした。
汐だけだった、外とのつながりに。店員さんも加わろうとしている。
あたしの世界は変わろうとしている。
「あ、自己紹介がまだでした。私は……、嘉瀬川心といいます。こころ、とかいてしんと読みます」
店員さん改め心さんはそう手を差し出した。あたしは息をのんで彼を見つめる。心さんは穏やかな微笑みを浮かべていた。
最初のコメントを投稿しよう!