12. マスクを脱がない女

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目の前の優しい人は、どうしてあたしに興味を持ってくれたのだろう。入口はマスクとポン酢に違いない。 でも彼はそこからあたしのことを見ていてくれた。マスクの壁を越えようとしてくれていた。 かっこよくて温和そうな優しい、まさに理想の人。 夢のようでリアルな存在。 そんな人と出会わせてくれたマスクをあたしはやっぱりこれからも好きなままだろう。 あたしは、涙目になりながら、はいと消えるような声で頷いた。
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