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無論本来はどの様な理由であれ許されないのだが、フラン自身の言葉でなんとか「庶民の暮らしを知れるお友達」として会うことを見逃されてきたのだ。
それでもフランが求めるのが王子様と聞いてからは男装を通してきた。
元々二つ年上な割には彼女に比べて起伏に乏しいこの身体は、まぁ女性として多少口惜しくはあるものの、中性的な顔をした男性で通すには都合が良かった。
だが例え彼女が求めるものが王子様だったとしても、そしてそこから離れることになったとしても、彼女の側に居たい。
それがこの結論だった。
「取り合えず、似合ってるわ。後は胸に詰め物をすれば完璧かしら」
「何てこと言ってくれてんの君」
「あらぁ、仮にも領主の娘に対してそんな口の利き方していいのかしら?」
「失礼を致しました。ですがお嬢様、そのような高圧的な態度をされますとご学友の方に誤解されかねないかと」
「……ロールプレイは完璧ってことね」
「護衛の依頼も何度か受けて、言葉遣いや作法はその時に教えてもらった。未だに君の言っていた事は信じられないけど、もし本当ならその大きな使命を君一人に抱え込ませたくない。僕にも、その手伝いをさせてくれないかな?」
あの日話してくれた未来、悪役令嬢として憎まれ役を引き受けなければならない学院生活。
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