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学院になんて通ったことは勿論無いけど、それは本来輝かしくあるべきもののはずだ。
未だ大人になれない少年少女が勉学で競い合い、武技や魔術を磨き、意中の相手との距離に戸惑う、所謂青春の時代と言われる物。
それを国の為と本心でもない悪口や悪行に費やし、友人もまともに関わることの出来ない日々で終わらせる事の孤独は如何程か。
自分の想い以上に、それが何より我慢ならなかった。
「……まったくもう、普通あんな話、聞き流すでしょ。何真に受けでるのよ。あの話だってあの日一度じかしでないじゃない」
長い沈黙の後そう言って泣きじゃくる彼女は、いつもの強気さは鳴りを潜め、ただ一人の少女のそれであった。
「でもダメ、そんなもの許されないわ」
「えっ!? 嘘、今の流れって認めてくれる流れじゃ……」
流石にここまで思い切った事をして拒否されるのはとてつもなく悲しんだけど。
しかしフランはその涙を拭くと、いつもの悪戯っぽい笑顔を浮かべてこう言った。
「うちくらいになると侍女の服もオーダーメイドなの。大丈夫、ちゃんとこの店に注文するから。ほら、さっさと行くわよ! お父様たちを説得するのが一番大変なんだからね!」
彼女は、主は今までにないご機嫌さで店を出て行く。
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