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「最上は夢中になれるものが、今はまだ見つかっていないだけだと思うよ」
友達にはいつもそんな言葉をかけられていた。何かに夢中になれば相乗効果で人を好きになり、夢中にもなれるのだろうか。そんな運命が待っているとしたら、いつでもいいので叶えて欲しい。
仕事をして気付けば1年。残念なことに、わたしは父親に悪いと思いながらも縁故の会社をあっさりと退社することになった。
父の期待を裏切り、悲しさを植え付けてしまったと一時期は後悔もしていたけれど、わたし自身が決めた道では無かったんだと反省し、自ら決めた道を歩むことを決めてしまった。
会社勤めを1年、わたしはようやく自分の行く道を決めた。20歳になる直前に勉強を頑張り、社会人枠での入学を決めた。
何となく先に社会人となったわたしだけれど大学生として何かを見つけ、誰かとの出会いを見つけて行ければいい。そんな想いを胸に秘めたまま、もうすぐ3年が経とうとしていた。
社会にいち早く出てしまったわたし。たった二つの歳の差。現役かそうでないか。その壁を未だに破ることが出来ずにいた。同じゼミの子とは話が出来るのに、仲がいい友達なんかはまだ出来ていなかった。
3年と言うと就活に向かって忙しくなる学年。それに該当しないわたしは、思い切ってサークルを探し始めた。無駄だと分かっていても、歳の差に関係の無い集まりなら見えない何かを見つけ出せるかもしれない。漠然とした想いを持ちながら、ようやく壁を壊せそうなサークルを見つけた気がした。
「わたし3年ですけど、いいですか?」
「全然、余裕ですよ。むしろ年上の人が居た方が面白くなりそうなんで、是非お願いします~」
今の今まで、積極性に欠けていたわたしの3年間。3年目から出して行けたら、何かが変わるきっかけになるのかもしれない。そう思いながら、彼と彼女たちの部屋の空間に足を踏み入れた。
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