2.自分の居場所

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2.自分の居場所

「最上瑞、3年ですけど現役でもないです」  言わなくてもいい自己紹介。これが3年の在学中にようやく理解したこと。考えてみれば、社会人の時でも大して自分を紹介していなかったはずなのに、どうしてわたしは学生になってから自分のことを見せようとしていたのだろう。現役の子たちとの差別化を何となく感じてしまったのが正直なところなのかもしれない。  現役じゃない。なんて、わざわざ言うことじゃない。言う子なんていない。自分から壁を作ってしまった、なんてことを友達の出来なかった3年目にしてようやく、気付いてしまった。それなのにサークルに入ろうとしてまたこんな紹介をするなんて、直ってない。  これでまたみんなはわたしを、年上さんとして線を引いて話をするのかな。そう思ってた。 「現役じゃない……マジっすか! それって、社会人だったのに入って来たってことですよね? え、すげー! 最上さん、ウチの活動知ってて来たんですか?」 「え、えっと、確か異文化交流……ですよね?」  わたしを出迎えてくれたのはどう見ても年下の、いや……年齢を気にするのは良くない。笑顔が爽やかな男子が、何の疑いも持たずに聞いてくれたのは素直に喜ばないと駄目だよね。 「そうですよ~。あ……って言っても、今いるメンバーはみんな同じ日本人ですけどね。最上さんは外国語はペラペラです? もちろん、全然言えなくても問題ないんでそこは気にしなくていいんですけどねー」  イメージが違った。この時は失礼と思いながらも心の中で思ってしまった。もっとちゃんとした人たちの集まりだと思っていた。まさかこんなにも気さくな感じで、しかも受け入れが素直だなんて。もっと早くにサークルに興味を持っていれば良かったと思いながらも、今を感じていた。 「話せないと無理ですか? わたし、英語もあまり話せないので……」 「いえいえ~俺もですよ。要は気持ちなので! そうじゃないと、楽しくないじゃないですか。最上さんは社会人やってて、こういう交流の機会とかあったんすか?」  全く無かった。殻に閉じこもったまま部屋にも籠っていた。自分から誰かに話しかけることも無かった。  学生生活3年目にして、自分に何が足りなかったのかようやく分かってしまった。今からでも遅くなければ、わたしはサークルに入って変わっていけたらいい。そう思えた。わたしは変わりたい。
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