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「みずほって、年上?」
「あ、うん。現役じゃないし、社会人枠だから」
「ちょっと! そんなの女子に聞くか普通……って言うか、泰史はそういうの気にしてないんじゃなかったっけ? 年上とか関係ないんだから聞くな!」
泰史くんの言った言葉に対して、すぐに反応と攻撃を返してくれるナツは、わたしから見ても頼りになる女子。聞かれたことにはなるべく黙らずに返事を返すようにしていたけれど、どう返せばいいのか分からなくなっている。それくらい、わたしのコミュ力は落ちているみたいだった。
「……気にしなくていい」
「そ、そうだね」
ほとんど無口の透馬さんにも心配されるほど、わたしはやばいということなのだろうか。考えてみれば、わたしのことに興味を持つ人は今までいたのかな。基本的に、自分のことを自分から話さなければ、人は聞いてくることをしない。今まではそうだった。わたしは自分のことを進んで話したことが無かった。だから、聞かれるということに慣れていないというのが正直な所。
「そんなもの」
まるで今考えていることを読まれたみたいに、呟かれてしまった。あぁ、駄目だな。楽しもうという想いを芽生えさせているのに、心の中は過去のことばかりを思い浮かべている。こんなことでどうして、変われるんだろう。それとも、少ない人との交流の中で何か自分で探し当てることをしないと駄目なのかな。
「もうすぐ着くよ。何考えてた?」
「あーうん。色々」
「彼氏いる?」
「い、いないけど」
「欲しいと思ったことは?」
「ある……と思う」
「そっか。それだけだから、気にしないでいいから」
よしのくんはわたしに一番、話しかけて来る男の子。ただ、それについてもどうということが無くて、聞かれたから返事を返している。それだけのことだった。きっと彼もそうだと思う。初めて入ることが出来たサークル。きっと、新しく入って来たわたしに何だかんだで気を遣って、聞いて来てくれているんだ。
どういう返事をすればいいのかなんて、入ってすぐのわたしでは到底無理。普通に、一日に会話する量が人それぞれで決まっているとは思う。けれど、そうしてこなかったわたしにとって、いくつかの答えにどう返事を返して、何が最適なのかなんて頭の中も心の中にも浮かんで来ない。それが今のわたしなんだ。
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