消えた雪

2/3
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
僕の名前は友弥(ユウヤ)。 ラルフはニックネーム。 いつから、そう呼ばれるようになったか覚えてない。 日常は淡々と進んで行く。 学校に行けば、友達がいてしゃべったり遊んだり。 だけど、アイツは違う。 気にくわないのに気になる。 学級委員を率先してやったり、優等生ぶってるのが気にくわなかった。 普段、話なんてしないのに。 放課後。 アイツから声をかけてきた。 「ラ…神月(コウヅキ)君」 …今、なんでラって言ったんだ? 「ちょっといい?」 「何。沓澤由紀(クツザワ ユキ)」 「君ぐらいだよ。フルネームで俺の事呼ぶの」 「何の用だよ」 「誕生日はいつ?」 「俺の?」 「そう」 「3月3日」 「10歳になるのはまだ先だね」 「俺は11月29日。明日、誕生日」 「だから?プレゼントでも欲しいのかよ」 「先に待ってる。ラルフ。俺がいなくなっても探さないで。また必ず会えるから。じゃあ!」 僕が何か言う前に由紀は去っていった。 意味がわからないまま、僕は家路に着いた。 おつかいに行って、宿題して…日常が終わり、眠りにつく。 キャンーー 「おいで。彼等に裁きを与えられる存在にしてあげよう」 子犬の亡骸を抱き抱える人物。 柔らかく、包む人の温かさ… この人は誰だろう? 真っ白な部屋。     
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!