消えた雪

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僕の名前は友弥(ユウヤ)。 ラルフはニックネーム。 いつから、そう呼ばれるようになったか覚えてない。 日常は淡々と進んで行く。 学校に行けば、友達がいてしゃべったり遊んだり。 だけど、アイツは違う。 気にくわないのに気になる。 学級委員を率先してやったり、優等生ぶってるのが気にくわなかった。 普段、話なんてしないのに。 放課後。 アイツから声をかけてきた。 「ラ…神月(コウヅキ)君」 …今、なんでラって言ったんだ? 「ちょっといい?」 「何。沓澤由紀(クツザワ ユキ)」 「君ぐらいだよ。フルネームで俺の事呼ぶの」 「何の用だよ」 「誕生日はいつ?」 「俺の?」 「そう」 「3月3日」 「10歳になるのはまだ先だね」 「俺は11月29日。明日、誕生日」 「だから?プレゼントでも欲しいのかよ」 「先に待ってる。ラルフ。俺がいなくなっても探さないで。また必ず会えるから。じゃあ!」 僕が何か言う前に由紀は去っていった。 意味がわからないまま、僕は家路に着いた。 おつかいに行って、宿題して…日常が終わり、眠りにつく。 キャンーー 「おいで。彼等に裁きを与えられる存在にしてあげよう」 子犬の亡骸を抱き抱える人物。 柔らかく、包む人の温かさ… この人は誰だろう? 真っ白な部屋。     
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