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「それにしてもあんた、その面は食事中も外さないんだな。」
紙を巻き直し、キキョウが問う。
「あぁ、これはまぁ、そうだな。」
イヴは言葉を濁しかけたが、別に隠す必要も無いように思えて素直に理由を話した。
「、、、古傷が目立つんだよ。」
そう言ってイヴが軽く面を持ち上げ、自らの目元を見せるとキキョウは少し驚いた顔で、まじまじとその目を見つめ返した。
イヴの目は、片方に色を無くしその目の周りには醜い傷跡が刻まれていた。
「隻眼だったのか、、、。その目でよくあれだけの芸ができるな。」
キキョウの感心した声に、イヴは何でもないことのように言った。
「あぁ、幼い頃からこれだからな。慣れだ。」
面を戻しながら言うイヴに、キキョウはふぅん、と呟きそれでもなお相手の伏せた目に視線を置き続けた。
それ以降、互いに閉口し2人の間には長い沈黙が訪れた。
イヴが少しずつ気を詰まらせ、ちらりとキキョウの様子を確認しようとした時、突然横から声をかけられた。
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