道化師イヴ

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辺りを覆っていた蜜も引き、空に群青色が差し始めた頃になるとようやくイヴは片付けを始めた。 大きな鞄ひとつに芸のためのナイフやロープをはじめとする道具たちを、ひとつずつ丁寧に仕舞っていく。 最後のボールを仕舞い鞄を閉めた時、視界に気配のない黒い足が映り込んだ。 「さっきの礼がしたい。ささやかだが、夕餉でも馳走させてくれ。この近くに良い店がある。」 目の前に、先刻の黒ずくめの格好をした男が立っていた。
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