猫はバイトを探していた

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猫はバイトを探していた

 大学の片隅に併設されるカフェは、週末の午後らしいまったりとした雰囲気に包まれている。由紀達三人は窓際の席をもう小一時間もの間、コーヒーとパフェだけで占拠していた。 「あ~ぁ、どっかにいいバイトないかなぁ」  由紀が求人情報誌を斜め読みしながら呟く。 「バイトって……アンタ。えっと、ガソリンスタンドはもう辞めたんだったっけ?」  ぼうっとして横に座っていた和美が尋ねる。 「……あんた何時の話してんのさ。スタンド辞めたのは、一年も前の話よ?」  呆れたように、由紀が返した。 「そうだっけ?」  和美はピンと来ていないようだが。 「何言ってんのよ、和美。由紀がスタンド辞めたのくらい、私でも覚えてるよ」  二人の前に陣取っていた真紀が和美に突っ込みを入れる。 「最初は威勢良かったわよねぇ、由紀。『健気な苦学生に見えるかも』とか言っちゃってさ。給油に来るカッコイイ外車に乗った医大生か何かをゲットするって張り切ってたじゃん」 「あれねぇ……」  ため息をついて、由紀を遠くを見るような目付きをした。
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