猫はバイト仲間と出会った

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 加護はそれだけ言い残すと奥に引っ込んだ。由紀は言われた通りに三番目の席に座ると、パソコンの電源を入れた。席と席の間は板で仕切られていて、座ると隣の様子は見えないようになっている。隣でも誰か小柄な女性がキーボードを打っていた。  へぇ、結構いいパソコン使ってんじゃん。  由紀は真新しいパソコンを軽くなでた。それは少なくとも学校の講義で使う鈍行列車のような古くて『重たい』ものではなかった。  頼むよ、ゼニを稼がにゃならんのだからさ。  それにしても、と由紀は改めて考えた。  どーやって相手を釣るんだ? 何せ、キッカケをどうするかだなぁ……。  とりあえず、過去の先人達がどういう釣り文句を書いているのか参考にしようと、由紀は他の出会い系サイトを覗いてみた。 「げっ……! 何んじゃコレっ!」  由紀は思わず声が出た。 「ひぇぇ……すげぇなぁ。あたしゃ、よー書かんぞ。こんな恥ずかしいの……」  自分で自分の事を『スレている』と自覚している由紀であっても、耳が充血して真っ赤になりそうな文句の羅列に思わず絶句した。  頭を冷やそうとして由紀は無意識にジーパンのポケットに手をやった。そして中の物を取り出した時、隣でキーボードを打っていた小柄な女性が突然手を止めて声を掛けてきた。 「お姉ちゃん、タバコ吸うの? だったら、ベランダに出てくれる? 中は禁煙だから」     
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